目次
〇19歳(インタビュー時) 女性 (関東地区生まれ) 〇7人兄弟の長女として生まれる。 〇小学1年生から児童養護施設で暮らしている 〇2024年4月から2年制の保育系専門学校に進学する 〇将来は保育士を目指している
Hさんのこと
長所:何事にもチャレンジすることです。 高校では1年生の時から生徒会に入り、3年生では生徒会長になりました。大勢の学生をまとめるのは大変でしたが、行事などに主体的に関わることでリーダーシップや仲間の大切さを知ることで大きく成長できました。 友達からは明るい、元気とよく言われます。 短所:自分のキャパシティを超えるとネガティブになって落ち込んでしまうところ。 失敗するのがこわくて、頑張りすぎたり、友達からは自分に厳しすぎる、追い込みすぎ、もっと相談してといわれます。 ストレス発散は歌を歌ったり、ギターを弾くことです。
趣味:推しはK-POP、J-POPならシシャモ、Mrsグリーンアップルです。 あとはYouTubeをみたりしますが バイトが忙しくてあまりドラマなどは見る暇がありません。 大好きなことは施設職員さんが作ってくれたオムライスを食べることです。
さんは関東地方で生まれ、その後は各地を転々とし、幼少期から中学校までに6回もの引越しを経験しました。 7人兄弟の長女である彼女は、家庭の中で兄弟の世話や家事を手伝いながら育ちました。 小学生時代は活発で明るく、友人も多く、外で遊ぶことが好きな元気な子どもでした。 クラスではにぎやかな存在だったようですが、引っ越しが多くて転校ばかりで勉強は遅れ気味で好きではなかったそうです。 そのかわり、自分から友達を作るすべはいつのまにか身に着けていました。 一方で、家庭内では父親のギャンブルなどでお金がなくて、兄弟は暴力を受けていたり我慢ばかりしていして子供らしいことはしていませんでした、母親は体が弱いことなどもあって兄弟みんながしんどかったと思います。
そのような環境の中でも友達の面倒見がよく、困っている子を放っておけない性格から、多くの友達に慕われました。
中学校に入ると家庭の問題はさらに深刻化して、常に親と兄弟のことばかり考えなければならない状況が続きました。 父親からの暴力が激しくなり、母の体調が一層悪化してしまい死というものを身近に感じるようになり、怖くて仕方がなかったそうです。 そんな状況で学校へ入っていましたが行きたくないと思ってばかりいました。 学校ではバレー部に入っていたのですが、父からは大会に出るといっただけでひどく叱られることもあり、いつもびくびくして過ごしていました。 中2の時に新型コロナウイルスが流行した時期をきっかけに、父の暴力が一層ひどくなり、ずっとお世話になっていた児童相談所の人と相談をした結果、母と私たち子どもたちは福祉関係者の支援を得て父親から逃れるように母子家庭の支援施設へと移りました。 しばらくは母と兄弟だけで不安のない生活をすることができたのですが、その後母親が再び父親のもとに戻りたいと言い出したことに、Hさんは驚くとともに強く反発しました。Hさんはとても悩みましたが兄弟を守るために母親との決別を選択し、中学2年生の終わり頃に児童養護施設に入ることにしました。
施設に入ってからの生活も最初は苦労しました。 同じ部屋の先輩がとても厳しくて、うまくかかわることができずに先輩が卒業するまではつらかった時期が続きました。 一方では、施設職員との関係は良好で彼女の心の支えとなっていました。 特に尊敬する職員さんはは料理が得意で、Hさんの大好きなオムライスをバレンタインのお返しとして作ってくれるなど、家族のような温かい関係を築きました。 ときには反発して言い合いなどもしましたが、多くの温かい職員さんのおかげで次第と積極的な性格にかわることができました。
高校では弓道部と生徒会に入り、3年生では生徒会長を務めることができました。 弓道部はあまり強くはなかったのですが、全力でやるべきことはできたと自信をもって答えています。 生徒会では文化祭やイベントなどを企画、運営することで協調性とリーダーシップ学ぶことができました。 このように積極的になれたのも、施設の職員さんのアドバイスのおかげで、いつも不安が先にたってしまい、小さなことでもチャレンジできない自分の背中を押してくれたおかげです。 「なやんでばかりいずに、自分でできることを精一杯やりなさい」という職員さんの言葉は今も心に残っています。 学校生活以外では、飲食店でアルバイトをしていたので、高校生時代は遊ぶ暇はまったくなかったですが、とても楽しかったです。 卒業式では学生代表として答辞を読むこともできました。 児童養護施設に暮らしているということはあまり友達には話をしませんでした。話をするとかわいそうと思われてしまうのがいやで、友達の前では職員さんのことを「ママ」と呼んでいました。
高校卒業後は4年制大学の教育学部子ども教育コースに進学します。 保育士を目指す理由は、自分が育ってきた環境の中で弟妹たちの成長を見守ることに喜びを感じ、また、高校での保育実習を通じて子どもと関わる仕事への確信を持ったからです。 特別支援教育の資格も取得できる大学を選んだ背景には、実践的な教育内容に惹かれたことがありました。
大学進学に向けては、施設の先生方や高校の先生から支援を受けながら、推薦入試を利用して無事合格を果たしました。また、進学に向けた勉強や準備に対しても、施設職員や友人たちからの励ましを力に頑張りました。
将来は一人ひとりに寄り添うことができる保育士になるのが目標です。 待機児童を一人でも減らせるようにしたいと思います。
大学生活は、サークルに入ってみたいです。できたら留学にも行きたいです。 高校時代は遊びに費やす時間がほとんどなかったので、いまからとても楽しみです。
父親が中3の時に亡くなった後、母親と葬儀の場で久しぶりに再会した際には、母親から「施設に入れてごめんね」と言われたことを覚えています。でも母も一生懸命生きてきたし、父のことを愛していたことは理解できるので母を責める気持ちはありません。施設にはいることができたので、家族と一緒ではできなかったこともできるようになりました。 これからは一人暮らしを始めるので、母には定期的にあって少しずつ恩返しして思い出を作っていきたいし、私の成長を見てほしいというのがHさんの思いです。 父はなくなってしまい、実感はもてずにいるが、今ではいつかは許せるようになりたいという希望を持っています。 今もなお、兄弟はそれぞれ異なる施設で暮らしていますが、いつかはみんなで旅行にでも行きたいですし、互いのことを想う気持ちはとても強く持っています。
施設職員のサポートを受けつつ、新しい環境への期待と不安を抱きながらも、自立した生活に前向きに取り組もうとしています。
施設の後輩にアドバイスを求めると、「施設にはたくさんの人がみんなを支えてくれています。高校からでも十分まにあうから、あきらめないでほしいと思います。常に感謝を忘れないでほしいです。」
最初は緊張されていましたが、すぐに慣れて場を和ますような会話をしてくれるとても聡明な学生さんという印象でした。生い立ちから、とても厳しい環境で生きてきた彼女だからこそ、相手の立場になって考えることができるのでしょう。これからは少しだけ自分のために生きてほしいと感じました。 とても頑張り屋のHさんを応援よろしくお願いします。
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支援者様への報告 毎月みらいこども財団よりメールで近況報告を送ります 数ヶ月に1回Zoom報告会を開催します(本人出席)
職員Aさん
本児とは隣接する児童養護施設に入所しているころから関わりがありました。
そのころから年下の子の面倒見が良く優しいお兄さん的存在で年下の子からもとても慕われていました。そんな彼が保育士になることを志したときは彼にぴったりなお仕事だと感じました。
春から自立援助ホームに入所と同時に専門学校に通い始め、居住地や生活する周囲の環境も一変し大変だったとは思いますが、弱音を吐かず明るく振舞い、生活費やホーム費を支払う為のバイトと学校の両立を頑張っていました。
退所まで約1年半ですが徐々に自立の為の貯金も必要です。しかし今後益々現場実習等で忙しくなることが想定されます。
本児が安心して学業に励めるよう、皆様からの応援とご支援を是非ともよろしくお願いいたします。
職員Bさん
自立援助ホームに入所して3か月ほどたちますが、誠君は専門学校に通いながらバイトを2つ掛け持ちで行なうなど、自立に向けて頑張ろうとする気持ちが強いお子さんだなと感じています。現在、保育系の専門学校に通っているのですが、児童養護で生活していた時から小さい子からも人気があったので、良い保育士さんになれると思っています!
自立援助ホームを退所する1年半の中で、今の生活を維持しながら貯金をしていかなくてはいけません。しかし、学校ではこれから実習なども始まっていき、バイトのシフトを減らさないといけない時期も出てきます。
少しでも余裕をもって、彼の『保育士になる』という夢を目指せるよう皆様からの温かい支援を是非ともお願いしたいと思っています。
宜しくお願いいたします。
職員Cさん
誠さんは、明るく素直で努力家。そしてなによりも、子どもに対しての愛情が溢れています。
以前から保育士になるという強い意思を持ち、夢に向かって着実に歩む姿は職員としても、いち大人としても尊敬しています。 また人懐っこ性格で周りの雰囲気を明るくすることができる力もあり、子どもからも大人からも大切にされる存在です。 この先もたくさんの人と出逢い、たくさんの幸せを共有して過ごしてほしい。 そしてもっともっと自分の世界を広げて成長してください。 応援しています。
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