〇19歳(インタビュー時) 男性 (関東地区生まれ) 〇2人兄弟の次男として生まれる 〇小学5年生の時から児童養護施設で暮らしている 〇2025年4月から4年制大学の社会福祉学部に進学する 〇将来は保育士を目指している
【自分自身のこと】
自分ではコミュニケーション力が高く、初対面の人でも自分から話をすることができます。 話をしない人とはかかわれないので、自分からかかわることが大切だと思っています。
友達からは人にやさしく、面倒見がよいとよく言われます。学校でも後輩に対して優しく接しています。特に意識はしていませんが、周囲の人が困らないように心がけています。
【短所】
苦手なことは長続きしないことです。中学校では部活を1年続けずに辞めてしまい、1年ごとに所属の部活を変えていました。特に苦手科目の勉強は怠けがちでした。
【趣味】
趣味はバレーボールをすること、アニメを見ることです。
中学3年の体育祭をきっかけに友達と頻繁にバレーボールをするようになりました。レシーブやボールを拾うことが楽しく、運動全般が好きです。また『ハイキュー!!』など周囲にもバレーをする人がいて影響を受けました。
アニメではミステリー系やバトル系が好きです。特に『名探偵コナン』『推理カルテ』『氷菓』『俺だけレベルアップな件』『らんま1/2』などをよく見ます。
音楽では卒業ソング、『正解』『RADWIMPS』『旅立ちの日に』が好きです。
バレー観戦もします。特に日本代表や高校バレーの試合をよく見ます。
【生い立ち・家庭環境】
小学校5年生の時虐待が主な原因で児童養護施設に入りました。
母の行方は祖父母に聞いてもわからなくて、昔の写真をみたことがあるくらいです。父には結婚はしていませんがパートナーがいました。 父は夜勤などが多い仕事で、幼い子供を育てることができなかったそうです。だから幼稚園時代は里親さんのもとで暮らしていて、小学校に入るころから伯父さんと叔母さんの家で暮らしていました。伯父叔母は子どもがいなくて自分の子どものように育ててもらったと思います。兄とは仲が良くていつも一緒に遊んでいました。 厳しい家庭でしたが、習い事などもさせてもらっていました。
里親さんと一緒に過ごした経験もあります。幼少期はやんちゃで目立ちたがり、クラスで自己アピールや喧嘩などもしました。厳しい家庭環境でしたが、兄と遊んだ思い出があります。
【施設での生活】
施設にはひとりで入りましたが不安は特になく、むしろ好きではなかった親元を離れられたことで気持ちにゆとりができ、開放感を覚えました。兄は施設には入らず、伯父叔母と今でも一緒に暮らしています。施設には約40人の子どもがおり、仲良くなれました。
【中学時代】
中学では徐々に落ち着き、先輩後輩との上下関係の中で主体的に行動していました。 部活は1年でバスケ、2年で卓球、3年でバドミントンと転々としました。 勉強は理科以外は苦手で授業中よく寝ており、課題も提出しないような子どもでした。
中学校の思い出は、3年生での修学旅行です。その時はクラスの実行委員を務め、積極的に行動することが良い経験になりました。
【高校時代】
高校は地元で進学校ではない学校を選びました。 中学校時代から父親が自動車整備士をしていたので、手伝えるように資格を取ろうと考えていましたが、高校1年の時に大学進学を決めました。 高校ではあまり積極的に友達をつくろうとは思わずに目立たないようにしていようと考えていました。
部活は華道部に入り、3年で部長を務めました。担任の先生が顧問でむりやり入れられました。年間16日しか活動日がないので、それがよくて決めました。30名以上いる部員をまとめるのは大変でしたが、いい経験になりました。部活動で先輩との交流が楽しくて自分の経験したことのないことでできたり、なんとなく花が好きだったので華道を通して心が落ち着きました。
勉強はしっかり取り組み、成績も向上しました。
ドーナツ店でアルバイトを週3~5日行い、進学費用を稼ぎました(月3〜6万円)。
進路を悩んだ時に施設の職員さんと話をしていたときに、社会福祉士の話を聞き、福祉分野を目指すことを決めました。障がい者就労支援施設での実習でも影響を受けました。そこで、実際に障がい者の話を聞くことができて、その時に手話を使う人がいて実際に手話を使う現場がみれたのは大きかったですし、手話が実際に役立つことを知りました。 障がい者を差別するひとはいますが、障がいを持つことになった理由などを聞いたり、誰でも障がい者になることはあるということ。 それでも頑張っている人の姿をみたことです。 施設で暮らしていて職員さんを間近で見ていたことも大きくて、大変な姿をいつもみていましたが、やりがいのある仕事だと思うことができたのは、伯父叔母が厳しく育ててくれたことや、 おじいさんが、「自分でがんばったことは必ず報われる」と教えてくれていたからだと思います。
【施設生活で良かったこと・困ったこと】
施設は近い年齢の友達が常にいること、頼れる先生がいることが良かったです。学校に行きたくないときや落ち込んだとき、先生に話を聞いてもらって楽になることが多かったです。
困ったことは、外出制限やスマホ使用の年齢制限が厳しかったことです。 職員さんには今までずっと育てていただいたので感謝していますし、いつか恩返しできるようにしたいと思います。
【施設にいることへの意識】
一般家庭でないことは特に気にしていませんが、まわりの友達にはあまり知られたくありませんでした。高校でも特に友達には話しませんでした。周囲の扱いが変わるのを避けたかったためです。ただ、高3になり数人の仲の良い友人には話しましたが、友達の態度はかわりませんでした。
【進学について】
4年制大学の社会福祉学部に進学し、社会福祉士の資格取得や実習を行う予定です。
施設の子どもと関わりたいという思いがあり、子どもとの接し方や手話を学びたいと考えています。
児童養護施設の職員を目指しており、手話のスキルを活かしていきたいです。
指定校推薦を決める際、職員さんに勧められました。
【職員を目指すきっかけ】
子どもと一緒に遊ぶことが好きで、高校2年生の作業現場実習で福祉系企業に行きました。そこで高齢者や子どもと関わった経験が影響しています。
【後輩へのメッセージ】
嫌なことや不安なことがあれば一人で抱えず、誰かに話してほしいです。お互いの意見をぶつけ合うことで、状況は変わるから勇気を出してほしいと思います。
【家族関係】
父とは高校2年生の夏以来ほとんど関わっていません。兄も親とは縁を切っています。その他もいろいろと意見が合わないことから、親とは関係を断っている状況です。 祖父母は大好きなので、長期休みには必ず帰っていて時々会います。 母には一度会ってみたい気持ちがあります。 兄は今でも伯父夫婦と一緒にくらしていて、子どものころは反発していたこともありますが今では8年間育ててくれた伯父叔母には感謝しています。
【将来・大学でやりたいこと】
・大学では趣味の一つとして手話を学び、サークル活動や運動にも参加したいです。 ・手話には通訳技能認定試験という資格もあると聞いているので、資格を取ってみたいと思います。 ・大学では遊びはせずに、勉強を優先します。4年間で大学を卒業後に施設の職員になれるように頑張りたいです。
(簡易版)
(詳細版)
支援者様への報告 毎月みらいこども財団よりメールで近況報告を送ります 数ヶ月に1回Zoom報告会を開催します(本人出席)
職員Aさん
陽春の候、こちらはのどかな日和で桜花爛漫です。そちらでの新生活はいかがでしょうか?
施設を出る前に、「どう節約して自炊しようかな」と話していたあなたの事、温かいご飯もしっかり食べているものと思います。地道な努力家なその一面、あまり心配はしていません。
異なる環境での独り暮らし、今までにない大変さもあるでしょう。私自身も育ちの地を離れて久しく、当たり前にあった空気空間、自然風土、社会機関、ルールや習わし、親しい人々、それらとのつながりやご縁の意味をふり返り、考える機会に恵まれました。「地域のバレーサークル等にも参加したい」とも話していましたね、良い交流グループは見つかったでしょうか。持ち前の運動や社交の才を活かして、のびのびと皆と関わる中で、自分の本当の喜びや幸せを、時間をかけてじっくり見つけて欲しいと願います。
これからも共に、世界のマカフシギサやアリガタサに感心しつつ、人生を肯定して楽しんでいきましょう。それでは、草々
職員Bさん
色々と迷いもあったかと思いますが、大学進学を目標に高校生活とアルバイトを両立してきました。悩んだり、辛かった日も多くあったかと思います。施設では、園庭で楽しそうにボール遊びや体を動かして気分転換を図っていましたね。一人暮らし、大学生活、金銭管理、新しい環境での交友関係、アルバイト等、今は新鮮な気持ちで乗り切る事が出来るのだと思います。何か困った時、心配な時、不安な時、教えて欲しい時に助けて貰ったり、一緒に考えて貰ったり、助言を貰える等の他者との繋がりが多くあります様にと願っています。キャンパスライフを楽しみながら、色々な経験を重ねていきましょう。応援しています。相談したい事があれば、いつでも連絡を下さいね。
職員Cさん
進学後、いろいろ出来る、出来ない、迷う、分からないことが多く出てきたかと思います。それぞれの困難と立ち向かいながら一歩一歩大人に向かい進んでいって欲しいと思っています。また、目標としていることを見失わず、迷っている、困っている人に手を差し伸べることが出来る大人へ成長を期待しています。頑張れ。
職員Dさん
新たな環境となり、一歩大人へ。正しい行動、間違った行動それぞれ自身の身に降りかかってきてしまうことと繋がってきます。他人のせい、ではなく、全て自身で決め、自身で動いていかなくてはいけないこと。自分の正義を信じ、先ず行動あるのみです。立派な社会人、夢への実現へ向けひた走れ。応援しています。
みらいこども財団では「貧困や虐待についての現状」「児童養護施設の現状と課題」「みらいこども財団の活動内容」について詳しくお伝えするオンラインセミナーを定期的に開催しております。まずはお気軽にご参加ください。
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児童養護施設の子どもたちを支援するには長期間にわたっての支援が必要不可欠です。 現在、児童養護施設に入所する子どもは低年齢化、さらに長期化しております。 1歳から乳児院に入り、18歳で卒業するまで児童養護施設で暮らす子どもが増えています。 そのような子どもたちを長期間支援するために、サポーター会員として継続的寄付をお願いいたします。
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