〇18歳(インタビュー時) 男性 (福島県出身) 〇3人兄弟(兄と妹) 〇0歳から児童養護施設で暮らしている 〇病棟保育士を目指して2023年4月から2年制大学に進学が決まっている。 〇アルバイトはファーストフードショップ
長所:どんなことにも全力で取り組むことができること、いろいろな人と関わることができること。 短所:優柔不断なところ。 趣味:音楽鑑賞とドラマを見る事。音楽はいろいろなジャンルを聞きますが、最近はサウシ―ドッグが気に入っています。 「コードブルー」という医療系の番組が好きでよく見ていました。 手先が器用で小さなころは折り紙が好きで、いろんなものを作っていました。 気分転換で部屋の模様替えなども好きです。 友達からは優しくて怒らない人だと言われます。
物心ついたときから児童養護施設で暮らしていたので一般家庭というものがわかりませんでした。母とは年1回面会で会えるくらいでしたがそれが当たり前だと信じていました。母とも小学校4年生くらいのときから会っていません。施設の職員さんからは、兄と妹がいるということを教えてもらいましたが会ったことはありません。父は生まれたときからいないそうですが、その理由は知りません。
そのような環境で暮らしていた、私にとっては施設が家で一緒に暮らす子どもたちが兄弟でした。小さいころは人見知りで甘えん坊だったようで、学校では友達はほとんどおらず、勉強も嫌いで全科目が苦手で一人でいることが多い子供だったと思います。だからかもしれませんが、施設の子どもとほとんどの時間を一緒に過ごしていました。
中学に入学してからも人見知りで、友達は10人くらいできましたが生活はあまり楽しくなかったと思います。勉強が苦手で、みんなに追いつくのに必死で、将来の夢もなく学校が終わるとすぐに施設に帰って、学校の課題をしたり施設の子どもと遊んだりしていた毎日でした。 中学になって、初めて施設で暮らしている自分は、周りの一般家庭で暮らしている子どもたちとは違うということが少しずつ分かってきました。その時はなぜ自分には家族がいないのかがわかりませんでした。普通の家で庭で暮らしている子どもたちは自由があったり、お金の面などを含めて幸せそうで自分にはないものを持っていて、知らない間に引け目を感じてしまったのかわかりませんが、自分から友達には施設で暮らしているということは言えませんでした。
そんな僕ですが高校へ進学してから少しずつですが成長していると感じています。たまたま、進学した高校では知っている人がほとんどいなかったので、おとなしい自分でしたが「いろいろな人と話をして仲良くなるしかない」と覚悟を決めることができました。 自分から積極的に話しかけるようになったおかげで、性格が明るくなりましたし、人から頼られることも増えました。今では考えられないのですが、学校の先輩や後輩とも仲良くしてもらうようにもなりました。 部活は第一印象が楽しそうで優しそうな人が多い雰囲気だったのでバレーボール部に入部しました。スポーツは得意ではなく、練習も大変でレギュラーではありませんでしたが、試合に出ることも多く、セッターとして先輩や同級生とも楽しく続けることができました。
高校時代で誇れることは3年間無遅刻無欠席で卒業できたことと、生徒会に立候補して副会長を務めあげたことです。生徒会に立候補は、生徒会の先輩がかっこよく見えたことから先輩に相談したところ、「君なら大丈夫だと思うよ」を言ってくれたことでチャレンジしてみようと思いました。 全校生徒に対して指揮をしたり、様々な大会に出席する機会をもらえたり、夏休みはほとんど学校に行って様々な作業をしたりと、実際にやってみた感想は大変なこともありましたがやってよかったと思います。
高校2年生になって進路指導が始まり、担任の先生を話をする中で自分なりに考えた結果、自分は児童養護施設で暮らしてきて、普通の家庭ではありませんが、たくさんの素晴らしい職員さんをずっと見てきたことなどもあり、社会福祉士などを調べる中で保育士を目指そうと思いました。 社会福祉士も考えましたがお金がかかることもあり、調べているうちに0歳から18歳で病気になって入院している子どもがいて、子どもたちのサポートをする病棟保育士という仕事があるということを知ってからは病棟保育士を目指すことにしました。 目標が決まってからは勉強も自分なりに頑張りましたし、わからないことは周りの人に聞きまくりました。職員さんのサポートをいただいて奨学金をいただくこともでき、目標の短期大学に無事学費免除も受けて入学することができました。
児童養護施設は私にとって、なんでも相談にのってくれる家族のようなところです。 高校進学の時は施設の職員さんと3年間で卒業すると約束をしたことで、学校へ行きたくないと思った事もありますが最後まで頑張りました。 一番感謝しているのは、夢を持てなかった自分に保育士になるという夢を与えてくれたことです。 多くの職員さんのおかげで進学することができましたので、病棟保育士になるという夢をかなえることで恩返ししたいと考えています。 私の暮らしていた施設は地域の人から理解があったから辛い思いをしたことはないですが、学校の友達には施設出身だということは言えませんでした。 社会ではまだ児童養護施設のことを悪い子どもがはいってくる場所だと誤解している人が多いですが、実際は虐待や家庭の事情でやむなく入ってくる子どもたちばかりで、子どもは何も悪くないんだということを知ってほしいです。
父・母・兄妹についての思い出はまったくありません。 唯一母だけが小学校4年生のときまで、年に1回だけ会いに来てくれたのをなんとなく覚えているくらいです。 そんな状況でも僕には父がいないと分かったときはショックでした。 母に対しても正直会いたいとも思えなくて、どんな感情を持てばいいのかがわかりません。 今の僕にとっては一緒に寄り添ってくれた職員さんが親だと思っています。
将来の夢は保育士試験を取得して病棟保育士になってたくさんの子どもたちを助けることです。 病棟保育士を募集している病院はとても少なくて、とても狭き門ですがあきらめずに頑張りたいと思います。 (施設で暮らしている子どもたちにに対して) 君たちを守ってくれる職員さんがたくさんいます。施設でくらしているからといって、周りの人と比べたり、やりたいこと、不満を我慢しないで口にしてみてほしいです。
亮くんは、職員様からお話を聞いて想像していた通りの優しくて穏やかな青年でした。 自分自身のことを客観的に見る能力をもって、自分に足りない部分は積極的に補ったりして、コツコツと努力することを続けた結果、進学することができました。 自分自身の経験を多くの子どもたちのために役立てたいという夢をかなえてほしいと心から思いました。
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亮くんの施設での生活を思い返すと、体が何個あるんだろう、と思うほど頑張り屋だったなあ、と言うのが真っ先に出てきます。 施設の誰よりも早く起きて高校へ出発し、誰よりも遅く帰宅するのが毎日当たり前でした。あまり多くを自分から語るタイプではないですが、学業、部活、アルバイト、生徒会活動など全てに全力で責任感を持って取り組んでいた模範的な姿を、施設の後輩たちに背中で見せ続けてくれました。 これからは保育の道に進み、専門的な講義、実習、アルバイト、など多忙な日常や未体験の困難が続くと思われますが、私は亮くんなら乗り越えられると確信しています。これからも周囲の人たちに支えられながら、感謝の気持ちを忘れずに過ごしていってほしいと思います。皆様の温かいお力添え、よろしくお願いいたします。
亮くん、進学おめでとう。施設にいる時から黙々と自分のやるべきことに取り組むあなたの姿勢はとても素晴らしい物がありました。高校生として自分の人生に責任を持って生活し、自分の人生を良いものにしようとするその姿は一緒に生活する子ども達にも多くのものを残していったと思います。 これまでの努力が実り進学を出来たことは本当に喜ばしいことですし、あなたの18年間の人生の一つの集大成でもあります。ただ、大きな節目を迎えましたがこれでゴールではありません。ここから先、ここからの人生をどう歩むかが本当に大切になってきます。 これまでの人生で経験したことや学んだことを精一杯活かして様々なことにチャレンジして欲しいですし、その中で上手くいかないことや理不尽なことも沢山経験すると思います。そんな時、どんな人でも立ち止まって休む場所が必要になります。施設はいつでもあなたを待っていますし、新しく休める場所を見つけられたならそこで休むことも大切です。 亮くんなりに努力とチャレンジを続け、疲れたら休んで、自分の足でしっかりと前進して豊かな人生を送って下さい。応援しています。
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