〇19歳(インタビュー時) 男性 (東京都出身) 〇三人姉弟の末っ子(兄と妹がいる) 〇4歳から18歳まで児童養護施設で暮らしていた 〇2022年から東京の4年制大学に進学し23年4月から2年生
長所:初対面の人ともコミュニケーションがとれることと、負けず嫌いなところです。遊びのゲームやスポーツでも勝負にこだわり、負けるととても悔しいです。 短所:自分で物事を決めることができないところです。なんでも人に相談してしまい、あとで後悔することや、友達から誘われて、しんどい時でも無理して付き合うこともあって自分では悪い癖だと思っています。 趣味:スポーツ全般、特にマラソンとフットサルが得意で、汗を流すことが大好きです。 アルバイト:ファミリーレストランでアルバイトしています。その他日当1万円以上の解体作業などの日雇いアルバイトもしています。
2004年に僕が産まれたときはお兄さん、お姉さんがいて3人兄弟の末っ子でした。4歳になって施設に入るまでが家族と一緒に暮らしていたそうですが自分ではほとんど記憶にありません。唯一記憶にあるには家族でディズニーランドに行ってダンボのアトラクションに乗ったということです。 4歳から児童養護施設に入った原因は母への父DVが原因だったそうです。父は気性の激しい人で、家に帰ることも少なかったことで、母一人で頑張って兄弟三人を育ててくれていたそうなんですが、生活ができなくなって、しかたなく施設に預けることになったそうです。 最初1年間は児童相談所にいたのですが、相談所の暮らしにやっと慣れてきたころに突然お母さんが迎えに来て、兄弟みんなにプレゼントをくれたと思ったら、いきなり車に乗せられてどこに行くんだろうと思っていたら児童養護施設に連れてこられたのでびっくりしたのをはっきりと覚えています。その時はもう母と会えないという思いと不安で号泣していました。周りの人からいつまでも泣き止まなかったと聞きました。
小学生時代は元気だけど泣き虫な子どもでした。相変わらず負けず嫌いで、小学校の運動会の50メートル走では、途中で負けるとわかったとたんに負けるのが嫌で途中で列から離れて走るのをやめていたくらいです。 学校は休み時間に友達と一緒に遊ぶために必要なものだと思っていたくらいで、勉強には全く興味がなかったと思います。 施設はスポーツが盛んで、私は柔道教室に通わせてもらっていて大会でも入賞することもできました。 小学生になってからも母が2カ月に1度くらい面会に来てくれていたので、それが普通で、一般の家庭ではないということもわからずに過ごしていました。 学校ではいじられキャラで、自然と人が寄ってくる中で毎日、自分が施設で暮らしているということを意識せずに楽しく過ごしていたと思います。
中学に入ってからは野球をしたくて野球部に入りました。野球部では部長などを経験したことで人とのコミュニケーション能力が磨かれたのはこの頃だと思います。でも、弱小野球部で部員も少なくて部活ではあまり結果を出すことができませんでした。友達もたくさんできましたが、自分では不完全燃焼だったという思いが強かったです。
だから、高校に入ってからはもっと自分を変えたいと思って、自分を知っている人が誰もいない学校に進学しようと思い、施設から電車で通える範囲の高校に入学することにしました。新たな気持ちで入った高校生活ですが、施設が高校生に対してスマホを持つことを許してくれなかったので、「これじゃぁ友達もできない、静かに過ごすことになるのか!」とあきらめていたのですが、最初のクラスの自分の席の周りの人から仲良くなろうと言ってくれたこともあって、すぐに友人ができました。 部活は以前から走ることが好きだったので陸上部に入って長距離を走っていました。走ることはに対しては、中学校時代に施設の子どもたちと駅伝大会などにでることで自分は区間賞なども取ることができて、結果が出ることの楽しさを覚えました。だから、高校では陸上に向き合ってみようと思ってチャレンジしました。都内では成績は普通でしたが自分の記録を追求することを目標に努力しました。 勉強についてもしっかりと取り組んで、クラスでも上位の成績をとることができましたし、自分では努力をして充実できた期間でした。 学校内でも多くの人の前で話す機会なども沢山もらえて、成長できたことを実感できました。
高3の10月くらいに学校から進路について提出してくださいという案内をもらってから、施設の職員さんに進路を相談したところ私の性格や学校での成績などを考慮してもらい「応援するから、将来のために進学してみたら」とアドバイスをいただき、迷ったのですが進学することに決めました。 成績はクラスでも上位でそれなりに良かったので指定校推薦をとることができ、目標の大学に進学することができました。今は様々なデザインについて学んでいます。 夢といえるほどのものはまだないのですが、大学生活でいろんな経験をするなかで夢や目標を見つけることができたらと思います。
小学校までは周りとの違いを意識せずに楽しく暮らしていました。地域の人も児童養護施設に対して偏見を持っていない人ばかりで友達は「施設に遊びにいくね」と親しみを込めて言ってくれることも多かったです。小学校、中学校のときは周りの人のおかげで施設の子どもということを意識せずに暮らすことができました。 高校生になってからは周りとの違いを意識するようになって、自分からは施設で暮らしているということを言わないようにしていました。自分だけスマホがなかったり施設のルールで外泊などもできませんでしたが、そのようなことは関係なく友達は接してくれたので楽しかったです。 施設の職員さんには感謝しています。何年も僕のことを見てくれていろんなことをアドバイスしてくれた職員さんがたくさんいました。毎日おいしい食事を食べることができることだけでも、卒業した今だからわかるのですが、本当に自分にとっては幸せな時間でした。特に味噌汁は最高においしかったです。 今の僕がいるのは施設のおかげなので、職員さんにはお金を貯めてリゾートホテルのチケットをプレゼントできたらいいなと思っています。
将来の大きな夢はないのですが、まずは大学を卒業して就職し、安定して収入を得て、安心できる人と一緒に暮らせて、自分の家でお湯につかることができて、ご飯も食べれて、寝ることができる。当たり前といわれるような生活をすることが夢です。
母とは施設で暮らしている間は2カ月に一度の面会で会う機会がありました。 小学生の時はそれが当たり前だと感じていて、普通の家庭というのも知らずに暮らしていました。 中学校に入ってから、周りの友達と自分がちがうということを意識するようになりました。 そのころは母に対して、何故自分たちを施設に預けたのかという疑問や怒りもありました。今でも一緒に暮らす方法が他にもあったんじゃないかと思うこともあります。 今からやり直すことができたら、家族で食卓を囲んで生活をしたかったと思います。 人生はやり直せないしあっという間に過ぎてしまうので振り返ることは良くないと思うのですが、普通の家庭なら時間やルールを気にすることなく、もっと多くの時間を友達とも楽しく遊べたと思いますので、僕も一度くらいは施設ではない生活をしてみたかったと考えてしまうこともあります。 母とは卒業してから1度会いました。父とは高校1年まで面会で話をしていましたが、その後急に連絡が取れなくなってしまいました。これからも会うことはないのかなと思います。 兄弟では連絡を取り合っていて、特にお姉さんとはよく会って話をしています。 これから、母と兄弟で一緒に暮らすことは難しいのではないかと思います。
ほとんどの人が児童養護施設の子どもと関わることはないと思います。 あまり知られていませんが、親が自殺してしまった子供や、捨てられた子ども、親から暴力を受けた子どもたちが施設にはいます。それでも頑張って生きていこうとしている場所だと知ってほしいです。
「施設にいる子どもたちに伝えたいこと」 今の環境をポジティブにとらえてほしい。施設にいるからという理由であきらめないで欲しいです。 自分自身でもそう思っていた時期もあるんですが、僕は施設にいたから進学することができました。 一般家庭では行けないようなイベントにも行くことができました。 実は、施設にいるからこそできることがたくさんあるから、前向きに考えて頑張ってほしいと思います。
ご自身でコミュニケーション能力があると言っていた通り、質問すると自分の思いをしっかりと伝えてくれる頭の良い学生さんという印象でした。 幼少期は辛い時期を過ごしたこともありましたが、持ち前のポジティブさと周りの人のおかげで乗り越えてきました。 自分にはまだ夢はないと、正直に教えてくれた彼。これから失敗することもあるかもしれませんが、学生生活の中でいろいろな経験を積むことで大きく成長することができると思います。 多くの方からのご支援、ご協力をいただけることを願います。
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3人兄弟の末っ子で、甘えが強くて我慢ができない。ちょっとした事で泣いて不貞腐れる。そんな宏樹君が中学では野球部、高校では陸上部と、自分でやると決めたことには妥協せず努力を重ね、本当に逞しく成長したと思います。 周りを笑顔にするユーモアさも持ち合わせており、きっと大学でも宏樹君の周りには多くの友人が集まっていることでしょう。 決して器用ではありませんが、コツコツと自分の目標に向かって努力することができる力を持っている彼を皆様に支え応援していただけますようお願いいたします。
幼児の頃入所した彼はとてもマイペースで、少しでも嫌な事があると、すぐに外に飛び出してしまう子でした。小学校の入学式の集合写真では、泣いて1人列から外れ、皆と撮る事が出来ませんでした。 「大人になったらどうなるのだろう?大丈夫だろうか?」と心配していましたが、そんな心配をよそに、とても優しく正義感がある、真っ直ぐな青年に育ってくれました。今は大学での勉強にアルバイトに生活に、と大変な毎日を送っているでしょうが、一生懸命日々過ごしている事と思います。4年間は長いですが、残り3年頑張って欲しいです。 そんな彼を皆様に見守り支えていただけますと嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。
勉強が苦手で、夏休みの宿題を泣きながらやっていた宏樹君が中学・高校とコツコツ腐らず勉強して、遂には4年生大学進学!何とも喜ばしい事です。 相変わらず勉強には苦戦しているようですが、真面目に実直に物事に取り組む子なので、本人なりに頑張って大学生活を送っていると思います。ただ、元々手続きを行う事や、他人の話を理解する事が苦手なタイプなので、心配も山積みです。1人で抱え込まずに、周りの人の力を借りて、支えられながら成長していって欲しいです。 皆様の温かな応援で彼の自立を支えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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児童養護施設の子どもたちを支援するには長期間にわたっての支援が必要不可欠です。 現在、児童養護施設に入所する子どもは低年齢化、さらに長期化しております。 1歳から乳児院に入り、18歳で卒業するまで児童養護施設で暮らす子どもが増えています。 そのような子どもたちを長期間支援するために、サポーター会員として継続的寄付をお願いいたします。
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