コロナウイルス緊急支援プロジェクト

支援金報告インタビュー第一弾【Qさん:女性】④

2020年10月22日

高校時代に児童相談所に一時保護されたときのことから、短大で出会った支えてくれる人達の存在、そして現在の心境についてお話いただいた内容を掲載しています。

(前回までの記事)
支援金報告インタビュー第一弾【Qさん:女性】①
支援金報告インタビュー第一弾【Qさん:女性】②
支援金報告インタビュー第一弾【Qさん:女性】③ 

ーーー高校生の時に先生が児相に相談してくれたとのことでしたが、当時のことを詳しくお伺いしてもよろしいですか?

2年生の2月に児相に保護されました。7月の頭が誕生日なので、あと数ヶ月で18歳になるというところでの保護でした。一時保護が終わったのは4月で、そこからは児相に入る機会もどんどん少なくなっていってフェードアウトされてしまいました。すごく覚えているのは18歳になりたくないという感情です。
自分が家庭に戻されたのがなぜなのか、理解できませんでした。「なんで助けてくれないのか?自分が悪さでもして児相に一時保護されて延長してもらうしかない。」と思って、悪いことをして迷惑をかけたけど、それをしているうちに高校も無期限停学になってしまったり、児相も親の肩を持つようになって、意味がなかったな…という感じでした。
誕生日が来るのが本当に嫌で、誕生日の午前0時になる1分前まで可能性を捨てきれなかったけど、何事もなく18歳を迎えて絶望しかありませんでした。

高校側が最初は自分の味方でいてくれたのに、どんどん児相や大人の肩を持つようになって、自分の言うことを信じてくれなくなりました。
「それが本当なら、今頃そうはなってないでしょ?」「自傷するなら保健室来ないで。」「泣きに来るなら保健室来ないで。」「児相に一時保護までされて親と仲良くなれないのは理解できないから、親と仲良くなるまで無期限停学」などと言われました。今考えたら信じられないですが…。
卒業してからしばらくは高校に復讐したくて、自分の顔や名前を晒して自分のいた高校の名前も出してこんなことがあったと発信したりもしましたが、何も変わらなくて、全てが無意味だったという無力感だけが残りました。高校や後に知り合う支援団体の大人達に対して復讐しようとして、何もうまくいかずに、ただ自分の神経がすり減りました。結局そういう大人はいつまでも変わってくれないのだということ、こんなに苦しめられたのにまだその大人たちは自分が悪いことしたと思っていなくて、正義の味方だと思っているから、同じことをまた繰り返すのだということが見えてきて、でもどうすることもできないと諦めるしかありませんでした。

ーーーその間もずっと誰にも相談できずに、誰も味方になってくれない状態の中で一人で頑張ってきたんですね?

そうですね。でもその後は福祉系の短大に進んで、福祉関係に詳しい大人達が周りについてくれて、生きてこられました。その人達と出会えなかったら今生きていないと思います。
短大当時の教授、数人が味方になってくれていて、今は車で5~6時間かかる距離だけど、卒業したばかりの頃は月に何回か通っていました。福祉系の通信制大学に行きたいと相談したときも、連絡先に名前を書いてくれたり、親身になって相談に乗ってくれました。自分がつらくて泣いているときは一緒に泣いてくれて、怒りたいときは一緒に怒ってくれて、本当に人間味のある人達に出会えて、大人ってかっこいい、大人になる前に死ななくて良かったと思えました。
今回も入院することは先生達にも言ってあって、励ましてくれています。
信頼できる人達だと思っています。もちろん人間同士なので、関係が崩れそうな時もあったし、信じて良いのかなという感情になったり、求めすぎて依存しすぎてつらくなったりした時期もあったけど、出会えて良かったなと思う気持ちが今は強いです。

ーーー入院しないと行けないということで今すごく不安だと思いますが?

最近体調が良くなくて、2~3ヶ月前くらいから入院を勧められてずっと断ってはいたけれど、もうすぐに入院しないといけないと言われて自分にとっては突然でした。スマホも持ち込み禁止で、連絡手段がないという状況を知って、不安と恐怖と、でも一方で安心している自分もいます。

ーーー安心というと、どういうことでしょうか?

何も医療に関わらなかったら自分は死んでいくという状況だとわかっています。摂食障害(拒食症)で体重もかなり落ちていて、病院からもこの夏は越せないよと言われるような状況でした。自分でなんとかできるような状況ではなく、無職になって、体力も生きる気力もなくなって、これからどうなるのだろうというのもあったし、このまま行けば死んでいく、体力がなくなっていくという現状がただただつらくて、どんどんできないことが増えて、どう抜け出そうかと考えたこともあったけど、その気力もいつしかなくなっていました。その状況が少しでもよくなる希望が持てるという意味では、これで良かったのかなという安心感があります。

ーーー退院したらやりたいことはありますか?

大好きなご飯をおいしく食べたいです。旅行も好きなので、旅行に行って現地のおいしいモノを食べたいです。

 

Qさんへのインタビューは、一旦はこれで以上となります。また可能であれば、退院されてからお話させていただく予定です。
今回のインタビューで2度、お話しさせていただきましたが、Qさんはしっかりされた方だなという印象でした。お話しされる声のトーンも、おそらくですが皆さんが想像されているよりも明るく、淡々とされていました。それがかえって、家族に対しても仮面の自分を作って接する彼女が経験してきた現実を物語っているようにも思います。
ご自身が大変な状況の中で、ご協力いただいたことに感謝します。

インタビューの中で出てきた人や団体を責めたり、批判したりという目的は一切ありません。誰が悪いとかどこが悪いとかそういうことではなく、この現実を変えるためにはたして自分に何ができるのか、考えていかなければと思います。
(インタビューアー:松村明香)

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