みなさんこんにちは!みらいこども財団スタッフの大谷です
このシリーズでは毎月1回、社会的養護や児童養護施設について制度や暮らしなどをお伝えしています。
今回も前回に続き、児童養護施設で日々子ども達を支える、施設職員さんの声をご紹介します。
また「中学生~など高年齢で児童養護施設に入所した子どもは、なぜ卒園後すぐに経済的に困窮しやすいのか」も解説します。
✨【現場の声】巣立った子たちが、ちゃんと“生きていけるように”したいだけなんです
■ 「卒園したら終わり」なんて思っていない。でも…
施設を卒園して社会に出たあと、子どもたちは本当にたくさんの壁にぶつかります。
金銭管理がうまくできない、仕事が続かない、進学できても学費が払えない、保証人がいない
一つひとつの現実が、そのまま「孤立」や「生きづらさ」につながってしまうのが現状です。私たち職員も、「卒園したら終わり」なんて決して思っていません。
でも、今いる子どもたちのケアで精一杯。連絡が取れなくなる子も多くて、思うようにフォローできません。
■ アフターケアの「壁」は時間と人とお金
やってあげたいことはたくさんあります。
一人暮らしの準備、金銭感覚の練習、役所の手続きの練習、困った時の相談先の確保…。
でも、それを一人ひとりに丁寧にやるだけの「時間」「人」「予算」が足りません。アフターケア事業所が地域にあれば…と思っても、まだまだ数が少ない。
支援は必要とわかっていても、「現場だけに背負わせるには限界がある」と感じています。
■ “家庭を知らない子”が自立するということ
子どもたちの中には、一度も家族と暮らしたことがない子もいます。
交通機関の使い方、食材の買い方、洗濯のしかた、役所への電話のかけ方…
私たちが“当たり前”と思っていることを、一からすべて教えなければなりません。でも、教える時間も付き添う人手も足りない。
「ちゃんと伝えたかったのに、卒園してしまった」
そんな思いを残したまま、社会に送り出してしまうこともあります。
■ 特性を抱えた子どもたちに、継続的な支援を
発達障害や精神的な課題を抱えた子も増えています。
そういった子どもたちには、専門的なフォローが卒園後にも必要です。でも、進学先や就職先では十分な理解が得られなかったり、誰にも相談できずに孤立してしまうケースも少なくありません。
「施設を出たら、どこに助けを求めればいいのか」、そうした“空白”を埋める仕組みが、もっと必要です。
■ 保証人がいない、貯金もない。進学・就職のハードル
進学を希望しても、「保証人がいない」「入学金や寮費が払えない」といった理由で諦める子がたくさんいます。
特に中高生で入所した子は貯金もほとんどないため、卒園後すぐに経済的に困窮してしまいます。「夢はある。でも、それにたどり着く手段がない」
それが、施設を出た子どもたちの現状です。(出典:みらいこども財団実施の全国児童養護施設職員様アンケートより。読みやすいように一部修正を加えております。)
いかがだったでしょうか?アンケートより一部をご紹介しました。
最後に出てきた「中高生で入所した子は貯金もほとんどないため、卒園後すぐに経済的に困窮してしまいます。」という先生の言葉を、みなさんはすぐに理解できたでしょうか?
お子さんのいる家庭だと馴染みのある「児童手当」。
家庭で暮らす子どもは保護者に支給されますが、児童養護施設で暮らす子どもは施設の設置者等(施設長さんなど)に支給されます。
施設では、これを措置費では賄えないその子に必要なもの・ことに使用したり、退所後の自立資金として毎月コツコツ貯金をしています。
つまり、入所期間が長いほど、児童手当の貯金が多くなります。
さて、児童養護施設に入所する子どもの入所時の年齢平均は6.7歳。
ですが、15歳~18歳の入所も1,132人(全体23,043人の5%ほど)います。
(子ども家庭庁 「令和4年度児童養護施設児童等調査の概要」P.2 より計算)
6歳と15歳の入所で貯金額を試算すると、
毎月1万円支給される児童手当×入所月
・6歳から18歳まで入所 1万円×144か月=144万円
・15歳から18歳まで入所 1万円×36カ月=36万円
6歳からの場合、卒園児の貯金の目安とされる100万円を超えますが、高年齢の入所児童の場合、卒業時の貯金は36万円と全く足りません。
高年齢で入所した子どもの多くは、高校とアルバイトを両立し、自分自身で自立資金を貯めざるをえないのです。
✨私たちにもできること
18歳になり高校を卒業すると、多くの子ども達が施設を出て自立をします。約5割は就職、約2割が進学を選びます。
初めての一人暮らし、新しい仕事、新しい学校、高校とは全く違う勉強や生活のスタイル…
とてもしっかりしている子どもであっても、躓くことも珍しくありません。
何か躓いたとき、困ったときに、話せる大人がいるかどうかで子供達の未来は大きく変わります。
もし児童養護施設の子ども達やその自立に関心をもったら、近くの児童養護施設に何かできることがないか問合せたり、寄付で応援するのも良いかもしれません。
みらいこども財団でも、交流型奨学金「オンライン里親」や、児童養護施設訪問ボランティアで、多くの優しい大人が子ども達と関わり支える支援を行っています。
みなさんの一歩が子ども達の支えになるはずです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
✨児童養護施設卒園後の学生を支援するオンライン里親さん募集中!
✨児童養護施設在園中から継続して関わるボランティア募集中!
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生まれてきてよかったと子どもたちに思ってもらえる未来をつくるため、私たちは決して諦めません。