みなさんこんにちは!みらいこども財団スタッフの大谷です
このシリーズでは毎月1回、社会的養護や児童養護施設について制度や暮らしなどをお伝えしています。
今回も、児童養護施設で日々子ども達を支える、施設職員さんの声をご紹介します。
✨【施設からの声】支援の現場で感じる“限界”と“願い”
■ 子どもたちの「心」は、そんなにすぐに整わない
虐待を受けて入所してくる子どもたちは、年齢に見合わないほど精神的に幼いことが多いです。
トラウマから情緒が安定せず、不安や怒りが突然爆発してしまう場面にも、私たちは何度も立ち会っています。どれだけ支援しても、「社会に出ても大丈夫」って胸を張って言える子は、ほとんどいません。時間が足りません。気づけば卒園間近。
焦る気持ちと、子どもの不安定さに寄り添いながら、日々葛藤しています。卒園した後、自分の居場所を見つけられずに命を絶ってしまう子、警察に捕まってしまう子、妊娠してすぐに母親になり、その子もまた施設に入る。そんな現実も、私たちは知っています。
もう少し支援の「時間」と「余裕」がほしい、そういう願いがずっと心にあります。
■ 発達障害と愛着障害、“普通”の支援では届かない
ここ数年で特に感じているのは、発達障害や愛着障害のある子どもが増えてきているということです。
対人関係が苦手で、ちょっとしたことで暴言や暴力に発展してしまう子もいます。職員同士で連携してなんとか対応していますが、子どもたちはスキルを身につけるのにも時間がかかる。
そして何より、「甘えたい」「構ってほしい」気持ちが満たされていないことが根底にあります。安心・安全な環境は整えられても、本当の意味で“心の充足”を届けるのは、簡単ではありません。
子どもたちは、「誰かに見てもらえている」と感じられることで、初めて落ち着くのです。
■ アフターケアの現実と制度の“すき間”
発達特性がある子どもは、社会で生きていく上でも多くの壁に直面します。
同年代とうまく馴染めず、進学や就職の場面でも選択肢が極端に少ない。
知的障害枠ではないけれど、普通高校には適応できず、フリースクールでは自由すぎる―そんなグレーゾーンにいる子どもが本当に多いです。それに加えて、18歳成人・措置延長といった制度改正にも追いつけず、卒園後に誰が、どうケアを続けていくのかが不明確です。
「どこまで、どう支援すればいいのか?」と迷うことも多い。
リービングケアからアフターケアまで、もっと予算と時間をかけてほしい。それが、現場で働く私たちの切実な願いです。
■ “専門性”を求められる一方で、人手も知識も足りない
子どもの多様性が増す中、求められる支援のレベルもどんどん高くなっています。
でも、職員の多くは若く、経験も専門知識もまだまだ足りないのが現状です。
研修を受けさせたくても、日々の業務に追われてその時間すら取れないことも…。また、小規模化が進む中でも、一人の職員が複数の子どもを抱える体制は変わらない。
集団で外出することも難しく、園内の環境整備すら十分にできていないのが実情です。
■ 退所後、子どもたちは社会の波にさらされる
実親のサポートがないまま進学する子も少なくありません。
学費や下宿費の捻出に困り、夢を諦めざるを得ないケースも多い。
それ以前に、家庭での暮らし方や金銭の管理を学ぶ経験がほとんどないまま社会に出ていくのです。最近では、スマホやゲームに依存する傾向が強くなり、生活に支障をきたす子も増えてきています。
ネットリテラシーが不足している子どもが、SNSを通じてトラブルに巻き込まれるケースも後を絶ちません。職員からは見えにくい世界で、子どもたちはどんどん“孤立”していってしまいます。
(出典:みらいこども財団実施の全国児童養護施設職員様アンケートより。読みやすいように一部修正を加えております。)
いかがだったでしょうか?アンケートより一部をご紹介しました。
✨子どもたちは、もっと「見守られていい」
国の方針により児童養護施設では施設や生活単位の小規模化が進められており、子ども達は6名程度のグループで生活することが多くなりました。
それでも、「6名の子どもを大人1人で見る」、これがどれだけ大変で葛藤があるか、きっとみなさんも想像がつくのではないかと思います。
(私個人としても、2人の子供の子育て中ですが、子ども2人だけ&夫婦で協力していても、手いっぱい!
たった2人分の子ども達の「ねえ聞いて聞いて!」「ねえこれして遊ぼうよ!」にちゃんと応えられているか、と思うと…反省ばかりです)
大変な思いをしてきた児童養護施設の子ども達は特に、もっともっと多くの大人に見守られてもいいのだと感じます。
支援に“正解”はありません。でも、関わり続けること、そして孤立させないことが大事だと信じています。
✨私たちにもできること
子ども達を見守る大人の一人になりたいな、と思ったら、近くの児童養護施設に何かできることがないか問合せたり、寄付で応援するのも良いかもしれません。
みらいこども財団でも、交流型奨学金「オンライン里親プロジェクト」や、児童養護施設訪問ボランティアで、多くの優しい大人が子ども達と関わり支える支援を行っています。
みなさんの一歩が子ども達の支えになるはずです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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生まれてきてよかったと子どもたちに思ってもらえる未来をつくるため、私たちは決して諦めません。