コラム

社会的養護について知ろうvol.8「一時保護ってなに?」

2024年07月12日

こんにちは、みらいこども財団スタッフの大谷です☺

毎週金曜に社会的養護に関するあれこれを発信していきます。私自身も日々学びながらですが、ご参考になれば幸いです!

今回は「一時保護」についていくつかデータを交えてご紹介します。

 

 

✨一時保護とは

虐待の相談があると、子供の安全のために必要と判断された場合、子供は一時保護をされます。

一時保護中は、一時保護所や、児童養護施設・里親家庭などで一時的に生活をします。

あくまで一時的な居場所であって、この間に児童相談所が中心となり、子どもにとって最善の生活場所やサポートの計画を立てます。

 

 

✨一時保護所で暮らす子の95%は学校に行けない

一時保護は「子どもの生命の安全を確保する」目的で行われ、子供は安全な環境で過ごすことができます。

一方で親の同意を得ずに保護する場合もあることから、外部との連絡ができなかったり、学校に通えないなどの制限があることもあります。(スマホのGPSで子供の居場所が分かってしまったり、学校まで保護者が迎えに来てしまう心配があるため)

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、一時保護のうち一時保護所で暮らす子供の約95%は通学をしていません

一時保護所内ではプリントなで勉強をしたり、時には遠足や料理などのイベントなどに参加して過ごします。

(一時保護所での生活についてより詳しく知りたい方は、ぜひこちらをご覧ください!児童養護施設出身のモデル田中れいかさんが、ご自身の体験や現場職員さんの声を含めて、分かりやすく紹介してくださっています。たすけあい 【経験者が解説】一時保護所とは? )

 

 

✨一時保護所の平均在所日数は32日。長期化するケースも

一時保護期間は原則2か月を超えてはならないと規定があり、一時保護所の平均在所日数32.7日(全国平均)です

一方で平均在所日数が50日~70日を超える地域もあり(例えば千葉県、川崎市など)、また100日を超えて一時保護されるケースもあります。

 

 

✨一次保護所の定員オーバーも課題

一時保護の件数は右肩上がりに増えており、特に首都圏の一時保護所では年間平均利用率が100%を超える地域もあります。

例えば千葉市133%、千葉県125%、川崎市124%、東京都122.5%など、年間平均利が100%を超えており、特に首都圏で一時保護の受け皿不足が深刻です

 

 

✨高校受験直前のいきなりの一時保護…

今回は一時保護についてご紹介しました。私たちも活動する中で、「小学生のときに複数回一時保護・家庭復帰を繰り返し数年間ほとんど登校できなかった」、「(中学3年生の時にで急に一時保護となり)学校に行くことも、友達と連絡を取ることもできず、外の世界から遮断されている状況の中、受験は目前に迫ってくる。私はこれからどうなるんだろう、ととても不安でした。(オンライン里親の学生さん)」、といったお話しを聞きます。

子どもの安全や支援につなげるための必要な期間や制限ではあるものの、もし急に1か月も2か月も普段の生活や友人から切り離されたら…と考えると、大人でもとても厳しく、子供にとってはなおさらだと思います。

想像もできない困難を乗り越え、それでも新しい環境で頑張る子ども達を見るたびに、「大人の私は何ができるだろう?」と身が引き締まる思いです。

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

出典
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「一時保護所の実態と在り方及び一時保護等の手続の在り方に関する調査研究 報告書 令和3年3月」43ページ 

こども家庭庁「児童相談所関連データ」17一時保護所の現状について

みらいこども財団オンライン里親プロジェクト 水野由香さんプロフィール

 

 

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