(前回までの記事)
支援金報告インタビュー第二弾【Wさん:女性】①
支援金報告インタビュー第二弾【Wさん:女性】②
支援金報告インタビュー第二弾【Wさん:女性】③
支援金報告インタビュー第二弾【Wさん:女性】④
ーー少し支援団体の里親さんのことが気になったのですが…
今も里親の活動をしています。
悪口になってしまうんですけど、あの夫婦にはまる子ははまります。私みたいな気が強い、自我が強い子は合いません。なんでも「はい、はい」って言ってくれる子じゃないと無理かな。
里子だけではなくて、活動に関しても擁護してくれる人じゃないと受け付けません。人間なのでそれは違うんじゃない?ということは誰しもあると思うんですけど、少しでも指摘されると、自分のことをまるごと否定されたかのように顔色が変わって、その人を痛烈に批判します。私たちみたいに苦しむ子が二度と出てほしくないのですが…。
里親家庭にいた当時、児相にも言ったんですけど信じてもらえませんでした。施設にいた時もそうだったんですけど、児相の人達は子供のいうことを聞いてくれません。まともだと感じたのは養護施設に入るかどうかという選択肢をくれた人と、高校1年生の時の児相の人くらい。「こうしてほしいんだよね」とか言っても、「それはあなたが悪いんでしょ?」と共感してくれません。里親のことを相談した時も「変わってほしいとかではなくて、話を聞いてほしいだけだから言わないでほしい」と言ったのに、すぐ夫婦に報告されて。すごく腹が立つんですけど…。
報告を受けた夫婦は「裏切られた。私たちは一生懸命あなたのためにやってるのに、あなたはそういう受け取り方するんだ。恩を仇で返すんだ。」と言ってきました。「恩を仇で返す」というのは彼らが怒る時の口癖のようなものです。信じられない、とんでもないなという感じだったんですけど。今入っている子達に関してももし同じようなことをしていたら、その子達がかわいそうだなと思います。私たちは家に帰る場がないという足下を見られているから、言いたい放題言われてしまうんです。私はアルバイトや友達という逃げ場所があったから、うまくいってはいなかったけど、まだよかったほうなのかなと思います。逃げ場所がない子からしたらあれはきついだろうなと思います。
ーー申込のときにはコロナのことを相談できる人が近くにいないということでしたが?
コロナの時期は学校もなくオンライン授業で、職場は今もピリピリしていて、なかなか家にずっといると病んでしまいますね。くだらないことを考えたりちょっとしたことでも悩んでしまったり。
家族関係が良好な子はオンライン帰省とかあったと思うんですけど、私にはそれがなくて。ただただ仕事行って、家に帰って、オンラインで授業受けて、心の安らぐところがない。今もそうかな。
実家という場所がないに等しいので。経済的なというよりはメンタルな部分ですね。こういうときに帰りたいなという家がないのはしんどいなと思います。
ーー私たちは居場所づくりもしたいと思っていて、でも本当に困っている人が来れるのかどうかという課題があります。そこで、施設にいる間によく知っているお兄ちゃん、お姉ちゃんになって、施設を卒業した後にも会えるような居場所を作りたいと思っていますが、私たちの考え、活動についてどう思いますか?
決して無駄ではなくて、そういうのも大事だと思います。出会うタイミングが中高生の難しい年代となると、そのタイミングに出会った子は頼りづらいと思います。一人暮らしをする子もいるけど、家に帰る子もいます。家に帰っていざっていうときに思い浮かべても頼れなかったりするのかなって思います。難しいですね。困ったときに頼れる相手って信頼関係が成り立ってないと難しいので、どういうのがいいんだろう。気軽に頼れるところ…。
でも私も今回の事(Twitterでの募集)も里親と上手くいっていない時期に繋がった団体のひと達が紹介してくれて、今活動されていることと変わらないのかなと思うので、決して無駄ではないと思います。
私も今思い浮かばないので、思い浮かんだら言います!
ーー今回インタビューを受けていただいた理由を教えていただけますか?
私も養護施設とか社会的養護というものから離れて、相談できる大人がすごく少なくて苦しみました。今は人間関係にもまあまあ恵まれてというのがあるんですけど。普通の家庭環境に問題のない子供達は親という支援があるじゃないですか。たまたま生まれてきた環境が悪かっただけで苦しい思いをして何かを諦めるとか、自分がいなくなるっていう選択をするよりかは少しでも救われる子が増えると良いなって思って。特に今コロナ禍でその傷跡がどのくらい大きいかもわからないので、その中でも一人でも幸せになってほしい、幸せになるための支えてくれる人がやっぱり必要だから今回参考になればいいなと思って引き受けました。
今回のインタビューは以上になります。Wさんは最後の質問でも答えてくださいましたが、児童養護施設を卒業していく後輩たちの力になりたいと、今回インタビューにご協力くださいました。私たちも彼女のその想いをしっかりと発信するとともに、支援の輪を広げていくことができるように引き続き活動に取り組んでいきます。
またインタビュー第一弾同様、今回のお話のなかで出てきた機関や団体を非難する目的は一切ありません。理不尽に苦しむ子供のいない社会にするために私たちにできることを、皆さんと一緒に考えていけたらと思います。
(インタビューアー:松村明香)
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